月刊ライフサイズ8月号「内定辞退はなぜ起きる?」
酷暑の日が続きます。さて、厳しい採用環境のなか、内定を出したにもかかわらず候補者が最終的に他社を選ぶ「内定辞退」はなぜ起きるのか。またそれをどう防ぐかについて書かせていただきます。
1. その能力試験、本当に必要ですか?
新卒採用では大人数の選考を一度に進めるため、能力試験を実施されている企業は多いと思います。しかし、実務経験者を対象とした中途採用の選考過程においても、新卒者と同じ試験が実施されるケースがあります。例えば語学力確認のための試験等であれば良いかもしれませんが、長年の実務経験を積んだ人物に対して、基礎的な言語能力や計算能力を問う試験を課す、というのは本当に必要でしょうか?こうした能力試験の実施は、転職希望者の企業に対する不信感に繋がり、更には志望意欲の低下を招いてしまいます。中途採用においては、職務経歴書や面接によって評価することのほうが重要です。
2. 条件提示は最初から満額で
多くの採用競合が存在する今、一人の転職希望者に対して複数のオファーが出ていることは珍しくなく、また転職希望者側も、提示年収の高低だけで企業選びをすることは無いとはいえ、それが重要な要素であることは間違いありません。そのため『ぜひ採用したい!』と思う人材に出会えたら、最初から満額の提示をしていただくことをお勧めします。年収面で折り合わず、内定辞退の申し出を受けたとき、慌てて年収を再提示したり、何度も条件を変えて提示するケースがあるのですが、こうした場合、候補者からの信頼を失ってしまい、最終的に競合他社との提示年収の差がほとんどないのに採用に至らない、ということが起きてしまいます。
コロナ禍を経て、採用環境も、そして転職希望者の情報の捉え方も、大きく様変わりしました。提示年収の他にも、新卒採用と同じスキームを中途採用でも取り入れている場合など、従来の手法を見直してみることは早急に必要であると感じます。
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